眠れない鳥

眠れなくて始めたブログ。

鳥のうつ病闘病記 ~その②~

闘病記 小説風に始めました - 眠れない鳥

鳥のうつ病闘病記 ~その①~ - 眠れない鳥

 

 10月の半ばに差し掛かっていた。相変わらず憂鬱な気分は取れない。

 

 友人の情報を頼りに、鳥は精神病院に行くことをついに決めた。

 クリニックに続き二回目だったので、予約をする時の抵抗はなくなっていた。というより、抵抗する余裕もなかったというべきか。

 一ヶ月半毎日憂鬱な気分に包まれている。なんとか仕事に支障は出てないといえ、かなり参っている状態だった。

 

 病院の予約が取れたのは、11月の頭だ。精神病院は、大体どこも予約をしてから一、二週間はかかるのがザラだ。人気のあるところだと半年待つことも珍しくない。

 そういった病院も友人から紹介してもらったが、こよ状態のまま半年も無事に生きていけるとは思えなかったので、なるべく早く受診できるところを選んだのだった。

 

 10月も終わりを迎える頃、別の先生が担当の授業時に鳥は職員室で作業をしていた。

 その次の時間はまた担任の鳥の授業だ。あと15分後程に教室に向かわなければいけない。

 その時ふいにどうしようもない不安が鳥を襲った。教室に行きたくない、行けないという思いで体が固まった。

 特にトラブルがあったわけでもない。なぜだ。鳥は混乱しながらもどうしても教室に行きたくないという衝動に駆られていた。

 すると、目から涙が溢れてきた。涙がなぜ出るのかわからない。勝手に目から流れている感覚だ。

 このままではまずいと思った。気持ちを押し切ったとしても涙が止まらないことには子ども達の前に立てない。

 職員室には自分以外誰もいない。職員室から直結している校長室のドアが開いていた。

 普段校長とはそこまで親しく話さないので一瞬迷いはしたが、鳥はすぐに立ち上がり泣きながら校長室へと駆け込んだ。

「どうした!?」

 校長が泣く鳥の姿を見て驚く。

「校長先生・・・。涙が・・・・・・止まらないんです・・・」

 泣いているせいで上手く話せない。

「そうか、ひとまず座りな」

 鳥は校長の言う通りに、校長室のソファに座った。校長は開いていたドアを閉め、鳥の真向かいに座って手を組み話を聞く体勢をとった。

「一体何があった?」

「わからないんです。急に教室に行きたくなくなって、涙が出てきて・・・。」

「ふむ・・・。なにかトラブルでもあったのか?」

「いえ、でも実は九月からずっと自分が変で…」

 鳥は異変の始まりから、クリニックに行ったこと、付きまとい続ける憂鬱な気分のこと、再度病院は予約してあることを校長に説明した。

 話している内に頭の中が冷静になってきて、話す終わる頃には涙が止まっていた。

「そうか。色々大変だったな・・・。どうだい、もう授業が始まるけど教室には行けそうかい?」

 気付くと鳥の授業が始まる時間だった。

「あ・・・はい。なんか大丈夫そうです」

「良かった。もし無理そうだったらまたここにおいで。とりあえず放課後にでもまたゆっくり話そう」

「はい、いきなりすみませんでした。ありがとうございました」

「いいの。いいの。なんか訳わかんなっちゃうこと、たまにあるよね」

 校長は笑顔で送り出し、鳥はなんとかその日の授業は終えることができた。

 

 数日後、仕事中に体がぐったりとした。いつもの憂鬱な気分とは違って身に覚えのあるしんどさだった。

 風邪だと思い、放課後に熱を測ると微熱だった。微熱の割には体はだるい。

 先日の件があってから鳥は細かく自分の状況を校長に伝えていたので、このこともすぐに報告した。

 伝えると、まだ勤務時間であったが早目に帰って病院に行くように言われた。普段だったら急いで帰るような事態でもなかったが、今の鳥の状況も考慮しての指示だったのだろう。

 指示通り病院に行き、その日は早目に寝るようにした。

 

 次の日、眼が覚めても体がだるかった。微熱も続いていて、普段なら休むはずのない程度だが、電話で校長と相談しその日は休むことにした。

 

 そして、その次の日から鳥は出勤できなくなった。

 

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